障害年金の基礎知識

障害年金とは

公的年金には、老齢年金・遺族年金・障害年金があります。病気やケガにより生活や仕事などが制限されるようになった時に手続きを行って受け取る事ができるのが、障害年金です。現役世代の方が受け取れます。

たまに質問を受けますが、ご夫婦の場合で配偶者がお仕事されていても(世帯に収入がある場合でも)、ご本人が要件に該当すれば受け取る事が出来ます。

障害年金申請の流れ

年金事務所や街角年金相談センターでの一般的な流れをご案内します。

① 初回相談

窓口にて初回相談の際に必要書類を受け取ります。

② 申請書類作成・提出

請求者が、受診状況等証明書や診断書の作成を病院へ依頼します。

病院の文書作成は1ヵ月程度かかります(もっと時間がかかる場合もあります)ので、その間に「病歴・就労状況等申立書」等を作成し、全て書類が揃ったら障害年金の請求書を窓口へ提出します。

窓口に最低2回は足を運びます。疑問点などあれば窓口相談の回数は増えていきます。3回~4回窓口相談へ足を運び請求書の提出をする場合が多いです。

社労士へ業務委託した場合は、この「 申請書類作成・提出 」をすべて社労士が行います。

③ 審査

日本年金機構の障害年金の審査には3ヵ月程度かかります。

④ 支給決定

障害年金支給決定となりましたら年金証書・年金決定通知書が届きます。年金証書が届いてから初回入金までに約1~2か月かかります。支払は、偶数月の15日に2か月分が振り込まれます。

障害年金を受け取れない場合は、日本年金機構から不支給決定通知書(※)が届きます。

※不支給決定となった場合、その決定に不服がある場合は、その知らせを知った時から3ヵ月以内に審査請求を行うという方法があります。

このように、障害年金を受取るまでの期間は、書類準備・提出まで期間として平均1~3ヵ月かかり、提出後審査を受けて決定するまで約3ヵ月待ちます。支給決定となった場合、年金証書が郵送されてからさらに初回振込は1~2か月後となります。

つまり、障害年金を受給するには、順調に進んだ場合でも入金されるまでは最短でも半年後という非常に時間のかかる手続きなのです。

障害年金の種類と受給要件

「障害基礎年金」と「障害厚生年金」

障害年金には、【障害基礎年金】と【障害厚生年金】の2種類があります。病気やケガで初めて病院に行った日に加入していた保険制度によって分けられます。初めて病院に行った日に国民年金に加入していた場合は障害基礎年金。厚生年金保険に加入していた場合は障害厚生年金です。

「障害基礎年金」の受給要件

  1. 初診日に国民年金に加入中、もしくは20歳より前または60歳以上65歳未満で日本国内に住所がある場合。
  2. 障害の状態が、障害認定日に障害等級表の1級または2級に該当していること。障害認定日に障害の状態の程度が軽くても、その後重くなったときは、65歳の誕生日の前々日までなら請求ができます。
  3. 保険料の納付要件を満たしていること。具体的には、初診日の前日の時点で、その前々月までの国民年金被保険者期間のうち、保険料納付済期間(免除・学生納付特例・納付猶予期間含む)が3分の2以上ある(または、初診日において65歳未満で、初診日の前々月までの1年間に未納期間が無い)ことが必要です。ただし、20歳より前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料の納付要件はありません。

「障害厚生年金」の受給要件

  1. 初診日に厚生年金に加入中であること。厚生年金の加入中に初診日があれば、退職後でも障害厚生年金の請求ができます。
  2. 障害の状態が、障害認定日に障害等級表の1級から3級のいずれかに該当していること。障害認定日に障害の状態の程度が軽くても、その後重くなったときは、65歳の誕生日の前々日までなら請求ができます。
  3. 保険料の納付要件を満たしていること。具体的には、初診日の前日の時点で、その前々月までの国民年金被保険者期間のうち、保険料納付済期間(免除・学生納付特例・納付猶予期間含む)が3分の2以上ある(または、初診日において65歳未満で、初診日の前々月までの1年間に未納期間が無い)ことが必要です。

初診日要件

障害年金は、病気やケガで初めて医師または歯科医師の診療を受けた日「初診日」に、国民年金に加入していた場合または20歳前の時は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。

保険料納付要件

障害年金を請求するにあたり一番大事な事は、初めて病院に行った日「初診日」より前に一定期間以上の保険料未納期間が無いことです。保険料の納付要件を満たさない場合は、どんなにひどい傷病でも障害年金の請求はできません(保険料納付要件)。国民年金保険料はしっかりと納めましょう。事情があって納付が難しい場合は、市役所や年金事務所へ相談して免除の手続きを忘れずに行いましょう。

障害認定日

障害年金を貰うには一定以上の障害の状態にある事が必要です。その障害の状態は、初診日から1年6ヶ月たった日「障害認定日」で判断します。障害認定日の頃の障害状態の程度に応じて障害年金の等級が判断されます。
また、1年6ヶ月経たなくても、病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日を障害認定日とする事もあります。

認定基準

障害年金の対象となる病気やケガは、手足の障害などの外部障害のほか、精神障害やガン、糖尿病など内部障害です。

  1. 外部障害の例・・・眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など
  2. 精神障害の例・・・統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など
  3. 内部障害の例・・・呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど

日本年金機構のホームページから、『障害認定基準』と『精神の障害に係る等級判定ガイドライン』をダウンロードして認定基準と認定要領を確認することが出来ます。障害年金を受給するには、その認定基準に書かれている「障害の状態」にあることが必要です。

日本年金機構のホームページ

→ 障害認定基準

→ 精神の障害に係る等級判定ガイドライン

障害等級表(抜粋)

障害の状態に応じて、障害の程度が重い方から1級・2級 ・ 3級と定めてあります。
なお、障害の程度3級は障害厚生年金保険のみ該当します。

障害の程度1級

  • 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
  • 両上肢のすべての指を欠くもの
  • 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
  • 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
  • 両下肢を足関節以上で欠くもの
  • 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
  • 両眼の視力の和が0.04以下のもの(原則として矯正視力)
  • 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
  • 全各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
  • 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
  • その他

障害の程度2級

  • 一上肢の機能に著しい障害を有するもの
  • 一上肢のすべての指を欠くもの
  • 一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
  • 一下肢の機能に著しい障害を有するもの
  • 一下肢を足関節以上で欠くもの
  • 両下肢のすべての指を欠くもの
  • 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
  • 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの(原則として矯正視力)
  • 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
  • 平衡機能に著しい障害を有するもの
  • 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
  • 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
  • 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
  • その他

障害の程度3級(厚生年金保険のみ)

  • 一上肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの
  • 一下肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの
  • 長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
  • 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
  • 両眼の視力が0.1以下のもの(原則として矯正視力)
  • 両耳の聴力が40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
  • そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
  • 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
  • 精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
  • その他
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